「地と記憶 Land of Fusion」中西敏貴 写真集
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中西敏貴様の写真集「地と記憶」のデザインを担当いたしました。
前作「オプタテシケ」に続き、今回も北海道を舞台に、オホーツク文化とヤマトのつながり、大陸との結びつき、そして文化の連鎖を感じながら、その地を訪れ撮り収められた作品群を三部構成で展開しています。
今回は、ただ単に自然や写真の美しさを見せるものではなく、考古学や文化人類学の視点を取り入れた作品群としての写真集です。
制作にあたり、編集・監修を担当されたキュレーターの梶川由紀さんや中西さんの想いを丁寧に伺い、前作「オプタテシケ」とは異なる視点で表現したいという意図を共有しました。
その過程で、空間や余白を大切にし、調査ノートのような雰囲気を持たせるべきだとの考えに何度も立ち返りました。
まずは、束見本を作成し、このサイズや形状が適しているか検討を重ねました。
最終的に表紙には、手にまとわりつくような質感の「モイスライク」を選定し、持った時の手触りを大切にしました。
また、表紙には実存した古地図を空押し加工しています。
これは、作家が各地を巡った痕跡を追うように、そのラインを指で触れて感じてほしいという想いを込めています。
さらに、日本語タイトルの「地と記憶」も空押し加工を施したのは、タイトルそのものが示すように、「記憶」というものは確かに存在しながらも、目に見える形ではないからです。
その場所に思いを寄せ、触れることで初めて感じ取れるものではないかという想いを込めました。
[制作過程]
3種類のサイズ違いの束見本を作り、まずは全体のイメージを共有。
写真の見え方を優先するか、本として全体の色味を優先するか検討し、少しきなりのハミングに決定。
表紙は、芯材に紙を貼り付けイメージを共有。(モイスライクの白と茶色、コルドバの色違いなど)
見返しも最後の最後まで悩んで、ファーァーストビンテージのカシミアに。
CREDIT
- 編集・監修
- 梶川由紀
- 出版
- Case publishing
- デザイン
- 井手香菜子
- 印刷
- 株式会社アイワード
- プリンティングディレクター
- 浦 有輝
- 公開日
- 2024.10