「Noctchrome」渡部さとる 写真集
Graphic

Outline
渡部さとる様の写真集『Noctchrome』のデザインを担当しました。
本作は、屋久島の夜明け前、漆黒の闇がわずかに朝へと移り変わる瞬間を捉えたモノクロームの世界。上下左右の感覚さえ曖昧になるほどの微かな光の中で、何が写っているのかも分からないままシャッターを切る――。そんな撮影時のお話を伺いながら、写真集そのもののあり方を考えました。
デザインでは、写真の輪郭やページの切れ目をあえて曖昧にし、タイトルさえも判読性を手放しています。視覚的な境界を極力なくすことで、読者が写真を見るのではなく、その場の気配や空気に触れるような体験を目指しました。
単なる写真の記録集ではなく、そこに確かに存在する「ひとつの気配をまとった物体」としての写真集。その存在感そのものが作品体験となるよう、造本とデザインを構築しています。




表紙は、暗闇の中に差し込む光を表現するため、黒のファブリックとクロス素材を用いて検討を行いました。
光を受けて繊細にきらめくタンタンピースと、落ち着いた質感を持つマット仕上げのアートカンブリックの2種類で束見本を制作し、比較検証しました。

箔押しについては、本冊子における「光」のイメージと深く関わる要素であるため、赤みを帯びた金箔と青みを帯びた金箔の両方を比較しながら、最終的な表現を検討しました。
CREDIT
- 出版
- Case publishing
- デザイン
- 井手香菜子
- 印刷
- 株式会社アイワード
- プリンティングディレクター
- 浦 有輝
